送れなかったメール

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休職中、月曜日の朝

田中さん

 

ある、家族の小説を読みました。

グチャグチャでした。

総てが、総てがグチャグチャでした。

混乱と愛憎と勘違いとかそういう狂ったもの全部を掻き集めてにだたせたらああいう家族になるかもしれない最低な、人として最低な!

でも、気持ち良かったな。

人なんて所詮そんなものだと、自分で打ち砕き続けた理想を砕いてもらったみたいで。

 

いいじゃないか、愛妻家なんて存在しなくて。

いいじゃないか、良妻なんて滅びていて。

 

ねえ田中さん。

私は田中さんを、他の人では埋められないところの、詰まる所の理想にしてしまいました。

もしかしたら本当に実在した「不倫をしない父親」!

私は父親が不倫したんですからこの世の男の人も女の人も全然誰も信用しませんしこれからも恨み憎み殺し続けます。

でも、田中さんのこと、本当に大好きだから、そんな理想に当て嵌まんなくても私はずっと好きよ。

愛妻家じゃなくても知らない女と不倫してても夢を諦めてもやることなすこと綺麗じゃなくても。

 

でも私は友達になったから

もし田中さんが道を踏み外してしまったら私は叱咤してあげる。

それくらいに強くなってやるのよ私は。

日曜日の夜

田中さん

 

前置き、お時間などに余裕があるときのみに宜しければお読みください。

 

田中さんが仰る通り、我慢できるから怒られても自分のせいにして我慢しました。
田中さんに言われた事についても、口惜しいとか、色々なことを感じましたが、我慢できるので我慢しました。

 

ですが、苦しいものは苦しいです。
昔から、随分昔から、言われたことを全部我慢してきましたが、一度も許したことなんてありません。

 

田中さんに私の一体何がわかるんだ、と思いました。
田中さんが言った私の良いところ?は、母親がうつ病だったから、人を気にして過ごすのが人より少し上手になったからだと思います。
私はそんなところ全然好きではありません。
別に自分をやさしいとも思いません。

 

田中さんに言われた言葉、もっともっと前に死ぬほど苦しかった出来事、全部我慢してきました。
別に我慢したくてしてるわけではありません。
単に苦しんでる私を思いやる人がいないだけです。
そんなことで、と思われるかもしれませんが、私は母親に自分の苦しみを話すとき、毎回毎回無視されることに激しい怒りを感じています。
そのくせに自分がそういう態度なのは自分が愛情を示すのが下手だから、などと言い訳をしますが、見ていればそんな事実でないことはわかります。
母親は完全に、自分の子供の苦しみを解決するべきなのはカウンセラーや病院だと勘違いをしているのです。
田中さんは病院やカウンセリングに連れて行く母を良い母だと言いますが、家で存在を無視される私からは面倒を別で引き受けさせたいだけと感じてます。

 

私の孤独を私だけの世界のせいにして、事実ではないように言いますが、何がわかるんだ、と思います。
私が母親のための人生だと勘違いをしていたのだって、私がそうしたくてそうしていたわけではなく、母親がわざとそうしたんです。
自分がかわいそう自分がかわいそうと私に言い続け、一生ここにいろと言ったのを私は忘れません。
私には愛すべき存在がありませんし、大事にしてくれる人には大事なものが沢山あります。
孤独じゃなくなるように私が動くことが人間の何とかだと田中さんは言っていた気がしますが、私は孤独じゃなくなるように動いても孤独です。
絶対に埋まらない孤独です。

 

誰も責任をとってはくれないから、全部私のせいです。
私に自分の価値を認めろと言うのは、猫に小判の価値を認めさせるほどには難しいことだと思います。
孤独で、全部私のせいで、我慢しかしなくて、良いところだって全然うれしくなくて、私が欲しいものは無い。
そんな自分に満足を見つけるのなんて、口惜しくて口惜しくて仕方がない。

私だって田中さんが羨ましいです、
家族があって、羨ましくて妬ましいです。

水曜日

田中さん

 

甘ったれてすみません。

もし、神様が見ていたら、もし、田中さんがいうように私が不幸だったなら、あの肩に縋り付かなかっただけで褒めてください。

不幸なぶんだけ甘やかしてよなんて我儘を言わないだけの我慢があるだけ、褒めてください。

私、もっと小さな頃に会いたかった。

そしたら好きにはならなくても甘えられたのに。